ホーム > 海外遠征 > 第1回中国遠征(1987年)  

中国遠征記

 

柔道部が神戸市友好使節団として天津市で国際親善試合

 

保健体育研究室助教授(現:教授) 

 

甲南大学柔道部は、715日から23日の間、神戸市友好使節団として神戸市の友好都市である中国天津市に遠征を行った。今回の目的は、「柔道を通じて交流を行い相互の親睦をはかるとともに、国際親善の尊さを学生一人一人が身をもって体験する」というものであり、天津では国際親善試合を2試合行った。

また、3年前に木村光雄氏と私が天津市で約1ケ月間柔道の指導をし、私にとってはその後の上達ぶりを見る楽しみもあった。この遠征報告では、学生達の日記や体験談等をもとに、私自身の感想を加えながら、我々一・行が見た中国について紹介したい。 選手団は、団長・材井双二(神戸柔道協会会長)、副団長・光本秀行(OB、報徳学園高校教員)、新戸建男(OB、甲南大職員)、コーチ・木村光雄(兵庫中学教員)、松田裕(OB、会社経営)、顧問(通訳)王世鐘(OB・会社役員)、材井義斉(神戸柔道協会)、監督として私(甲南大学柔道部監督、甲南大学職員)、そして上出正彦主将以下26名の学生であった。

 盛大な結団式行われる 久保田淳一理事長、森恒夫学長をはじめ甲南大学関係者、神戸市、神戸柔道協会、柔道部OB、父兄等、各方面から大勢の方々のご参加の結団式が甲南大学柔道部・中国遠征の結団式が甲南大学生協にて盛大に行われた。「甲南大学初の大規模な海外遠征なので、是非頑張ってきてほしい」との激励を受け、今回の遠征にご支援、ご協力下さった人々の期待にそえるように大いに責任を感じると同時に、大地中国の未知との出会いに大きく胸をふくらませた。

 

 いざ出発

 715日午前9時、大阪空港に集合。何度か勉強会を行っていたためか全員が時間前に集合、順調に出国手続きをすませた。

 「いざ出陣といった感じで、全身武者ぶるいが走った」(上出・4)、「憧れの中国に行けるということで心ははずみ、試合のことは忘れてしまっていた」(伊集院・4) 台風の影響を避けての飛行のため、約30分程遅れて北京空港に到着。空港では今回の遠征の橋渡しの役目をしていただいた天津柔道協会主席の王成氏、天津体育協会の于恩薫氏、通訳の肖嵐敏氏等の出迎えを受けた。私と木村氏は、中国の友との3年ぶりの再会を果たした。また学生達にとっては感激的な大陸への第一歩となった。

早速バスで天津まで、約3時間の旅となった。噂どおりのメンテナンスをみはる自転車の多さ、また郊外でのレンガ造りの建物、地平線の果てまで続く田園風景、バスの窓から見える初めての中国に、全員緊張した気持ちで眺めていたが、あまりにも無限に続く風景に、ふと学生達を見るとほとんどの者が旅の疲れかここちよい眠りについていた。

 天津市のホテル"天津科技大厦"に到着すると、天津柔道隊監督の薫以成氏、天津体育協会、柔道協会等の大勢の人達の拍手と、固い握手で温かい出迎えを受け、天津側の我々一行に対する期待感がひしひしと感じられた。早速、両方の役員の紹介と日程等の確認が行われ、その後の親善試合についての話となった。会話の中で天津側の試合に対する意気込みが感じとられ、我々にも新たな緊張感が走った。

 天津での日程は、午前中は天津市郊外にある道場で天津選抜隊との合同練習、午後は市内観光、試合は17日と19日の両日に行うことになった。

「中国人の歓迎をうけて、今一度"しっかりせねば"という気持ちになった」(角矢・3)、初めて飛行機に乗って離陸の時は死ぬ思いをした」(東内・1)、「とうとう来たんだな!これでもう後に引く事は出来ない。とにかく精いっぱい頑張ろう」(松井・1)中国での最初の朝翌朝6時より全員の気持ちを引きしめる意味で、日本での通常どおり朝トレを行った。白転車の多く行き交う道路に出てのランニング、大きい男達が集団で走ったり、腕立て伏せをしているためか我々を物珍しそうに見ている。しかし、我々もあちらこちらで太極拳を行っている人達に出会え、中国に来たんだという実感がわいてきた。

 

いよいよ合同練習

初練習は午前10時より、期待と不安を胸にバスで道場に向かう。道場に到着すると、ちょうど全中国の女子の合宿が天津市で行われており、我々よりはるかに巨大な女子が我々一行を迎えてくれた。

 道場に入るなり、柔道隊の大きな拍手と人なつっこい明るい笑顔に迎えられた。それは私にとっては、懐かしい教え子との再会であり、学生達にとっては感動的な交流の始まりであった。

 早速合同練習となり、中国選手の力強さと野性味あふれる気迫に満ちた乱取りに、最初は全員が戸惑いの色を隠すことができなかった。後半になると、ようやく中国選手に慣れてきて本来の力を発揮し充実した練習となった。

練習後、天津柔道隊の迫力に全員が危機感を持つと共に、これが明日の試合に「絶対に勝つぞ./」というよい刺激となった。

『中国の女子を見て、血の気がサーッとひいてしまった」(足立・2)「優れた人材が集まり、ハングリー精神をもち懸命に練習に励んでいた」(斉藤・4)、「白帯の人も、力・気合とも満々で圧倒された」(上坂元・1)。歓迎招待会716日の夜7時より、天津市主催での歓迎会が天津賓館で行われた。天津市政府、体育協会、柔道協会それぞれの代表、また柔道隊選手等約20名以上の方々が、我々一行を温かく歓迎してくださった。

天津側から熱烈歓迎の言葉の後、何回もの"カンペイ"が続き、また薫監督の京劇や甲南側から歌や踊りの披露もあり、大変な盛り上がりの中で時の経つのも忘れ交流を深めることができた。

 「とにかく、あれほどまで歓迎されて驚きとうれしさで胸がいっぱいだった」(三木・2)、「こんな立派な会に招待されて一・生忘れる事はないでしょう」(植田・2)、「相手の熱意が心にしみた。電線音頭で盛り上がった」(坂口・4)、「最後に全員で柔道の歌を歌った時は心が熱くなった」(岩谷・1)、「言葉は通じなくてもそんなことは全く苦にならないくらいに盛り上がった」(衣笠・1)

 

国際親善試合始まる

会場は観衆でふくれあがり、大声援の中での試合開始となった。上出主将以外は国際試合は初めての経験であり、日の丸をつけての責任感が募ってくる。天津チームの中には、全中国チャンピオンやナショナルチームにとってはかなりの強敵である。

 試合結果 

1試合(817)-54 (甲南大の勝利)

2試合(819)-28 (中国チームの勝利)

 試合内容 

[1試合]

前半、甲南大ポイントゲッターの塚本、上出、うまい試合で順調に勝利をおさめるが、双方取りつ、取られつ五分の戦いを続けた。中盤、天津チームは強豪選手が多く、8人を終了したところで各選手善戦するも43と天津リード、衣笠選手もう後がない。1年生ながら勝利を奪い、44。しかし内容で天津チームがリード。いよいよ大将・水谷、気迫で相手に勝り、大内刈りで効果を奪い、大逆転の末、甲南大学の勝利で白熱戦にピリオドを打った。

[2試合]

天津チームも前回の雪辱を果たそうと気迫がみなぎっている様子。選手、観衆とも必死である。甲南大も日本の誇りにかけても、やすやすと負けることはできない。こちらも全力で臨むが、結果は28で天津の勝利。天津滞在の終盤で選手達にかなりの疲労がでていたことは否めないが、天津(中国)選手の勝負に対する執念と、体力面での強力さを、まざまざと見せつけられた一戦であった。

"日の丸"を背負い絶対に勝つと思った」(松本・2)、「"柔能剛制"の柔道を見せてやろう」(佐々木・1)、「先鋒なので、絶対負けられないと思った」(松村・1)、「テレビ中継があったので、試合に出ない私も大変緊張した」(宮田・2)、「自分の柔道ができるかどうか、不安で胸が潰れそうだった」(水谷・2)

 

新しい友情の輪広がる

この遠征中、中国柔道が近い将来日本の強敵になると強い印象を受けるとともに、彼等以上の努力が我々に必要であるということを痛感した。我々の天津での滞在中、終始TV局の取材があり、連日、天津市民に大きく終了した後、明の十三陵、万里の長城、天安門等を見学し、中国4000年の歴史の一端にも触れることができ、8日間という短い期間ではあったが、多くの事を学ぶことができた。 天津の方々に温かい配慮をしていただいた事に感謝の意に堪えない。中国の人達に友好的に接していただき、また新たな友情の輪が広がり、将来、学生達が日中友好の担い手となる事を強く感じた。

最後に紙面をお借りして、今回の遠征にご支援・ご強力下さった多くの方々に対し心よりお礼を申し上げます。

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