ホーム > 海外遠征 > 第4回アメリカ遠征(2000年)

アメリカ遠征を終えて

団長 永井

 

団長を快諾して以来、気候風土・風俗習慣・言葉・食事などの違いによる不都合や行き違い等の心配とそして未知への期待とが交錯する日々であった。学生達が勉学と柔道のかたわら、遠征のためにアルバイトをする姿を見て、是非この遠征を成功させたい、という気持ちが次第に高まってきた。

 実に素晴らしい、十二日間、毎日が充実した旅であった。この遠征では参加した学生が積極的にアメリカの人々と交流をはかり、日に日に目の輝きが増してゆく様子を見て、団長を引き受けて良かったと感じる。お陰様で各地で行った親善試合、合同練習では怪我もなく、友好使節団としての所期の目的を無事成し遂げたことを役員そして団長と共に心から喜びたい。

 役員と団長の代表が、笹山幸俊神戸市長の友好親善を携え、シアトル市庁舎を訪問した。ポール・シェル市長(市長不在のため、クリフォード・R・トライスマン国際局長)に伝達し、神戸市シアトル事務所大野所渡部シアトル日本人会長等の同席を得て、公式行事を無事終えた。

 今回歴訪したアメリカ西海岸は、アメリカでも柔道の盛んな所で、指導者の多くが正しい柔道の普及に腐心しておられる。ともすれば、野球、アメリカンフットボールやバスケットボールなどプロスポーツが注目されるなかで、柔道の究極の目的である「精力善用」「自他共栄」の精神は、チャンピオンになれば手っ取り早く名誉と金が手に入る、合理主義のアメリカの風土に馴染みにくいかと思えた。だが、シアトルでお会いした、ジョージ・L・

ウイルソン博士の柔道の本質を教育的に又精神的に説かれたお話は感銘を深く拝聴した。真剣に純粋にアメリカ柔道のことを考え、熱い思いをもって普及・努力されている多くの方々の姿を拝見して大変頭の下がる思いだった。

 シアトル市、ロサンゼルス市、サンノゼ市、フラッグスタッフの各地で親善試合を行った。どの試合も実力が拮抗して大変見ごたえのある内容であった。親善試合の後の交歓会は、試合でお互いの体をぶつけ合った仲間の不思議な心の通い合ったエネルギーが満ち溢れ、大いに盛り上がった。柔道で知り合った仲間が彼らの人生に実り多いものなることを切に期待する。

 ロサンゼルス甲南会深田会長等のOB・OGの皆様が我々を講道館ガーデナー道場で出迎えていただいた。親善試合の後、交歓会を共にして、後輩達の活躍を喜んでいただき、「お寿司」の差し入れをありがたくおいしく頂戴した。同窓のよしみと後輩の温かい配慮を感じた。

 今回の遠征では篠原一雄先生(7段)に大変お世話になった。(先生は明治大学を一九六〇年卒業と同時に渡米され、アメリカ各地に赴き柔道の指導にあたられ、全米柔道連盟の日本担当として活躍されている。)シアトルでのホームステイ・親善試合、ロサンゼルス、全米最強のサンノゼ大学との試合、フラッグスタッフでの全米学生選手権大会の観戦と全米学生選抜軍との対戦などのスケジュールや計画、調整等に労をいとわずご支援いただいた。又全行程にご同行いただき、道中は先生の貴重な体験談やアメリカ柔道の歴史と現況、アメリカに関して知っておくべき事柄等々をユーモアを織り交ぜて話され、学生達は引き付けられるように聞き入った。

 柔道を志している素晴らしい人々、篠原一雄先生、ジョージ・ウチダ、アルバー・ニシムラ、イサオ・ワダ、トム・アキヤマ、ランディー・エール、そして全米柔道会長ヨシヒロ・ウチダ、オレゴン州から自主参加のブリット、また全行程に同行いただいた志田康弘氏、岸邦彦氏、当間和喜三氏皆様にはアメリカ滞在中は大変お世話になった。この他にシアトル、ロサンゼルス、サンノゼ、フラッグスタッフ各地でお世話になりました方々にこの場をお借りして厚くお礼申しあげたい。

 柔道を愛し、取り組む姿勢、人と人との出会いが如何に大切か、相手を気遣う気持ちを身につけること等々……このたびの遠征は私達全員がいろいろなことを体験し学んだ。

 神戸市、国際課、教育委員会、全日本柔道連盟、神戸柔道協会ならびに甲南大学の関係各位、甲南大学柔道部OB、また、ご理解いただいた各方面の多くの方々からの心強いご支援、ご協力を賜り衷心より感謝申しあげたい。

 永木先生、賀屋先生には公私ご多忙のところ遠征中ご指導をいただいた。学生の心を理解し、遠征の準備には学生の力と自主性を信じて、その運営を委ねた山崎先生の卓越したご指導は素晴らしく、相互信頼感は遠征を通して隋所に拝見した。甲南大学OBの樋沢君、曽我部君、榮君、皆様は学生に対して模範となる態度、気配り、親身になって指導していただきありがとう。芦屋大学、兵庫教育大学、横浜桐蔭大学、甲南大学の学生は礼儀正しく、日本を代表する柔道マンにふさわしい行動は立派であった。また、親善試合に於いても相手の力に臆することなく正々堂々とした態度はアメリカの人々に好印象を与えた。

 二十一世紀を担う皆さんと共に過ごした二十日間は夢のように過ぎ去りました。この毎日は永い人生の中で最も充実した、学ぶことの多い有意義な日々であった。

 おわりに、「精力善用」「自他共栄」を柔道にも平素の生活にも実践されておられる篠原一雄先生のご健康とご多幸を心から祈念して、筆を置く。

 

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